10月19日の会の報告です。

 私の「ジャポニスム 日本文化の衝撃波は十九世紀中ごろから欧米で流行した日本趣味について詳細に紹介し、その本質と限界について説明しました。荷物の包み紙などとして欧米に渡った浮世絵に接触したマネ、モネ、ドガ、ゴッホなどなどの欧米の一流絵師たちは大きな刺激を受けて、彼らの作品にその特色を取り込みました。その実態を多くの作品で説明しました。しかし、欧米の絵師たちは、低視点移動、遠近法や影の無いこと、型の重視などの浮世絵の本質を見抜くことはまったく出来ませんでした。さらに、欧米に渡って公演した、筒井徳二郎、川上音二郎など、日本の地方回りの芝居一座の活動を紹介し、それなりの歓迎は受けたが、やはり本質が理解されることはなかったことを説きました。日本が「脱亜入欧」を国の方針として狂奔していた時代、西欧ではニーチエ、ホフマンスタールなどの欧米を代表する哲学者や詩人は神と言語の死を唱え、西欧流合理主義に絶望していました。日本の伝統文化は神と人の交流の産物です。 
 グローバリズムが叫ばれている今こそ、新しいジャポニスムを創始して世界に示す必要があるのです。

 第二部、「チベットからの風」はチベット婦人二人による講演と歌唱でした。前半のギゃリ
さんのお話は今年90歳の誕生日を迎えられたチベット仏教ダライラマ法王14世のご動静を説明しながら、中国の支配下にあるチベットの悲惨な現状の詳細なご説明でした。中国の不当な圧力によって、多くのチベット人がインドへ亡命している状況を、原稿もなしに、年代、人名、数値、事件の推移などの精緻なお話には驚嘆しました。 そこからはチベット人の置かれた苦しい状況がひしひしと迫ってきました。
 後半の歌姫ギャルモさんのチベット衣装をま
った歌唱は、音量、節回し、感情表現で、場内を圧倒しました。私は何度かチベットへ調査に行っていますが、美しい草原、山、川、森林、砂漠などが、眼前に浮かび上がってきました。陶然とした至福の時間が過ぎていきました。
 
 11月16日  第3日曜
 12月21日  第3日曜
 
 民族文化の会後半予定

 
 11月16日
 1 占領下アメリカナイゼーションと女性の周縁化 身崎とめ子
 2 台湾原住民神話に登場する日本人       諏訪春雄     

 12月21日
 1 紀・記の皇祖ニニギは創作       工藤洋一
 2 1.解説とパワーポイント「平曲は世界音楽」
前田流平家琵琶 鈴木孝庸門下 一ツ目弁天会荒井今日子

2.平家物語 巻第九より「敦盛最期(あつもりのさいご)」
平曲初のフルートとのコラボレーション
(平曲) 前田流平家琵琶 鈴木孝庸門下 一ツ目弁天会 荒井今日子
 &(フルート)斉藤理恵

3.平家物語 巻第十一より「那須与市(なすのよいち)」
(平曲)荒井今日子 &(フルート)斉藤理恵

4.平家物語 巻第一より「祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)」冒頭部分
唱和 皆さんでご一緒に
(平曲と唱和指導)荒井今日子

参加費 千円(資料代、茶菓代を含む)
会場 黛ビル4Fホール
 〒107-0052 
 東京都港区赤坂3-10-3  
 TEL 03-3583-3633・3606
 FAX 03-3583-3639


[地下鉄赤坂見附駅赤坂方面出口から徒歩3分]